賃貸物件を退去する際には、原状回復をして退去する必要があります。
どこまで原状回復が必要なのかも考えながら、そのために必要な期間を考える必要があります。
マンションやオフィスなどの原状回復期間などを見ていきますので参考にしてみませんか。
原状回復工事の範囲とは
退去の際の原状回復とは、例えばマンションなどの場合やオフィスでは内容が異なります。
マンションなどの場合は、入居者が退去する際に、管理会社、工事業者などが室内状況を立会い、どのような原状回復が必要なのかを一緒に確認するのが一般的です。
壁、天井、床のチェックや水回り部分のキッチン、トイレ、浴室、洗面所のチェック、また室内の建具や周辺設備などのチェックなどが細かく行われます。
そして、具体的な原状回復工事の範囲については、管理会社、貸主の判断にもよることも多いでしょう。
クロスやフローリングが傷んでいれば張り替えが行われ、水回りの修繕や取り替え、建具や周辺設備の修繕、取り替えが検討されることもあります。
借主が原状回復工事の費用を負担する範囲は?
そこで、借主が原状回復のための工事費用を負担する範囲ですが、国土交通省のガイドラインでは、「貸借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、貸借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(以下「損耗等」という。)を復旧すること」とあります。
つまり、故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損の費用は負担しなければなりません。
また、長く住んだことによる経年劣化、生活していて自然にできたキズや汚れ、色褪せなどに関しては費用の負担義務がないことになります。
マンションなどの原状回復工事期間は部分補修なら数日、張り替え取り換えなら数週間
マンションなどの原状回復のための工事は、ハウスクリーニングをしたり、部分補修をしたりするだけなら1日程度~数日程度の期間でできるでしょう。
壁のクロスやフローリングの張替え、水回りや設備の修繕・取り替えまで行えば数週間かかります。
入居者が退去後にこれらの原状回復工事が行われ、入居者に費用負担がある場合はどんなに遅くとも1年以内に請求があります。
敷金で足りることもあれば足らないこともあります。
オフィスの原状回復の範囲と費用負担は?
次にオフィスの原状回復の範囲はどこまで行う必要があるのかについてご紹介します。
オフィスの場合はマンションなどの賃貸住宅の場合と異なっていて、経年劣化や自然な使用による通常消耗も含めて、原状に戻す全ての費用を借主が負担するようになります。
契約書に原状回復義務について書いてありますので、確認しておくことが大切です。
また、特約などが付いていることもありますので、細かく確認しておいてください。
オフィスの原状回復工事に必要な期間とは
オフィスの原状回復は、賃貸物件で事業を行いますので様々なものを新たに作ったり変更したりしていることが多いでしょう。そのため、原状回復に費用と期間を要します。
100坪のオフィスならば、原状回復工事に2週間程度~1ヶ月程度かかります。
また、それ以上になる場合もあれば、工事が簡単に済む場合もあるでしょう。
オフィスの場合は原状回復を完了して引き渡すことが必要
そして、オフィスの場合については、退去時までに原状回復を済ませる必要があります。
入居した時と同じ状態に戻してからの引き渡しが必要です。
引き渡し期間までに、原状回復工事が終わるように見積もっておく必要があります。
また、原状回復工事は、想定外の工事が増えることもあり、工事の着工予定の数か月前から問い合わせをして検討が必要でしょう。
どんな原状回復工事が必要で、どのくらいの期間がかかるのかを早めに考えて準備する必要があます。
オフィスの原状回復の範囲の詳細をご紹介
例えば賃貸オフィスでは下記のような内容の原状回復が必要です。
・入居後に設置した家具や備品、設備の撤去
・パーテーション・カーペットなどの撤去
・床板の張り替え・再塗装
・壁紙クロスの張り替え(一部の場合もあり)
・天井の張り替え・塗り替え・補修・交換
・入居後に整備した電気や電話回線の回復、撤去
・床下配線の撤去
・照明設備や配線を新たにした場合の撤去・回復・管球の交換や清掃
・ネオンや看板などの撤去
・その他、増設・造作したものを撤去
・壁・床・天井・窓などのクリーニング
賃貸オフィスの場合には、契約書の特約にこうした床板や壁紙クロスの張り替えや照明器具の取り替えなどが明記されていることが多く、全て借主が費用を負担するようになっていることが多くなります。
オフィスの原状回復費用負担は100%
オフィスの原状回復工事の費用は100%負担になり、費用は物件の面積によって変わります。
・小規模~中規模の100坪未満で坪単価2万円程度~5万円程度
・大規模の100坪以上で坪単価5万円程度~10万円程度
具体的には50坪程度の中規模オフィスなら10万円程度~250万円前後、100坪の大規模オフィスなら500万円以上の原状回復費用が発生します。
ただ、建物の築年数などもありますので、年数によっても相場は異なるでしょう。
マンションやオフィスなどによって原状回復のための期間や費用は大きく異なる
マンションなどの賃貸住宅やオフィスなどでは原状回復の認識が異なってくることをご紹介しました。原状回復の範囲が大きく変わりますので注意が必要です。
またオフィスでは、原状回復をしてから引き渡しをする必要がありますので、原状回復期間を考えて準備しておく必要があります。
また、オフィスの原状回復には長い期間を要することも多く、早めに見積もって検討しておかなければなりません。
どこまで原状回復をしなければならないのかは細かく打ち合わせてください。
原状回復の専門業者に依頼することで計画的に進めることが大切です。