マンションを賃貸した場合に、退去時には原状回復をする義務があります。
マンションの原状回復ではどのくらいの費用がかかるのか、
またどんな点がトラブルになりやすいのかをご紹介しますので参考にしてください。
賃貸の原状回復とは？現状回復とは異なる？
まず、原状回復とは何かから見ていきます。
賃貸物件を借りて退去する場合には借主が部屋を原状回復するための費用負担をするのが義務となっています。
この時に「原状回復」と言い、「現状回復」とは異なりますので、注意してください。
「原状回復」とは、元の状態に回復して戻すという意味で、「現状回復」は今の状態に回復する」という意味です。
両者には違いがありますので、知っておくといいでしょう。
賃貸物件の場合、入居した当初のように「原状回復」をして退去する必要があるという意味合いになりますが
入居当初のそのままの状態に戻すという意味ではありませんので、その点についても詳しく見ていきます。
原状回復とはどこまでを言うのか
それでは原状回復とはどこまでしなければならないのかですが、
よく借主と貸主でトラブルになりますので、次のように決められています。
「原状回復とは、賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、
賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」
と定義されています。
簡単に言えば「普通に住んで自然にできる汚れや損傷は、入居者の責任ではありません」となっています。
つまり、通常の使用であれば損耗や毀損などはやむを得ないものとされていて、借主の原状回復の必要がありません。
例えば家具を置いていた床に置いていた跡がついてしまった、床が日焼けをした、壁のクロスの色が日焼けで変色したなどは負担の必要がありません。
通常の使い方をしていて、時間の経過で劣化した部分の原状回復は、借主の負担はなく貸主負担となります。
ただし、何かを落として床を傷つけた場合や窓の開けっぱなしで雨が降り込んで水漏れを起こして床が変色、またクロスにクギで穴をあけてしまった場合などは借主が原状回復をする必要があります。
ワンルームマンションの原状回復費用はどのくらい？
それでは、実際にワンルームマンションの原状回復費用はどのくらいかかるのかをご紹介します。
原状回復費用の相場は約7.5万円前後と言われ、10万円以下の場合が多くなります。原状回復費用として、それぞれどのくらいかかるのかも内容別に参考にしてください。
内訳として、ハウスクリーニングでは約20,000円程度～約30,000円程度ほどかかります。新しく賃貸に出すためにプロの業者に部屋全体の清掃をお願いする場合が多いでしょう。
また、壁や天井のクロスの貼り替えも必要なことが多くあります。
クロスの材質によりますが、約30,000円程度～約50,000円程度必要です。
1ｍあたり（0.9㎡）の相場単価は約1,000円程度～約1,200円程度となっています。
汚れたり傷ついたりした部分のクロスを部分的に張り替えることが多いでしょうが、周りのクロスと同じようにならない時は広く張替える必要もあります。これらの原状回復の費用が一般的です。
排水管清掃約15,000円程度～約20,000円程度をする場合もあります。
エアコンや給湯器が古くなっている場合の交換は約80,000円程度～、IHコンロの交換約50,000円程度～約60,000円程度などがあります。
ケースによって様々な場合があるでしょう。
トラブルになりやすいマンションの原状回復のための費用負担とは
ここで、トラブルになりやすいマンションの原状回復のための費用についてご紹介します。
例えば、よく壁のクロスの張替えをした場合に全額を負担しなければならないのかどうかでトラブルになります。
マンションの壁のクロスの張替えは約30,000円程度～約50,000円程度と高額になってしまうために、トラブルになりがちです。
その場合ですが、クロスの耐用年数も考えて原状回復のための費用負担を考える必要があります。
クロスの耐用年数は6年と言われていますので、長く住んでいれば借主の責任による張替えの費用負担は少なくて済みます。
例えば、3年で退去した場合にはタバコやペットなどでクロスを汚した場合も、耐用年数の半分が経っていますので、クロスの張替えにかかった費用の半分を借主が負担すれば良くなります。
こうした細かなことを退去時には知識として知っておくのがおすすめです。
そして、退去時にはできるだけ立ち会いの上で、原状回復費用について確認しておくのがトラブルにならずにいい方法です。
退去時に原状回復の確認の立ち会いが大事
原状回復の費用や費用負担については後でトラブルになりがちです。
退去時に立ち会ってきちんと借主と貸主で相互に確認しておくといいでしょう。
できれば間に不動産業者にも入ってもらうのがおすすめです。
立ち会いは、荷物を全て搬出した後に、相互に立ち会って床や壁、天井や設備の状態を確認します。
その時に、キズやへこみなどが指摘される場合は、できれば入居当時に既にキズやへこみがあった場合は写真で撮って記録しておくといいでしょう。
そして、原状回復費用は敷金から捻出されますので、敷金がどのくらい返金されるのかを確認してください。
確認できたら、立ち合いに関する書類にサインをしておきます。
後でもめないように立ち会いの場で決めておくといいでしょう。
確認しておかないと、後になっていろいろな請求が来ることがあり、注意が必要です。
原状回復の費用はマンションでも通常の使用や経年劣化を除いた費用負担に
賃貸でマンションを借りた場合の退去時の原状回復の費用についてご紹介しました。
原状回復というのは、できるだけ元の状態に近づける意味で、通常の使用や経年劣化によるものは省きます。
そして、長く住めば原状回復のための費用は少なくなりますので、できれば長く住んでから退去するか、もしくはキズをつけたり、へこませたり、汚したりしないように退去時のことを考えて使用してください。
ワンルームマンションでも原状回復のための費用はかなりかかってしまいますので気をつける必要があります。